【承認欲求】SNSとナルシシズムの関係

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「いいね」が自己愛を加速させる?SNSとナルシシズムの危うい関係

■ はじめに

SNSは、現代人にとって日常の一部になりました。Instagram、X(旧Twitter)、TikTok…。私たちは写真を投稿し、近況を発信し、共感や「いいね!」を通じてつながりを求めています。

しかし、その便利さの裏で注目されているのが、SNSと“ナルシシズム(自己愛的傾向)”の関係です。

「いいねの数が気になる」
「他人の投稿に嫉妬してしまう」
「見せるための自分を演じて疲れる」

そんな経験はありませんか?
本記事では、SNSが私たちの自己愛にどのように影響を与えているのか、またそれが問題化する場合の特徴や対処法について解説していきます。


■ ナルシシズムとは?

ナルシシズム(自己愛)は、誰もが持つ自然な心理です。
自分に自信を持ち、健全に自分を肯定する力は、人生を前向きに生きる上で必要不可欠です。

しかし、過剰なナルシシズム(自己愛性パーソナリティ傾向)になると、以下のような特徴が目立つようになります。

  • 自分が特別で注目されるべき存在だと思っている

  • 他人の評価に過敏で、自分を誇張して見せる

  • 批判を極端に嫌い、否定されると攻撃的になる

  • 他人の感情に共感しづらい

  • 人間関係を「支配・服従」の構図でとらえる

このような傾向が強くなると、人間関係が破綻しやすくなり、周囲から孤立するケースも少なくありません。


■ SNSがナルシシズムを強める理由

① 注目を“数値化”できる環境

SNSでは、「いいね」「フォロワー数」「閲覧数」など、自分の存在価値が数値で可視化されるような仕組みになっています。
それは一種の承認欲求の刺激であり、「もっと見られたい」「もっと認められたい」という気持ちを強くします。

このような環境下では、ナルシスティックな性質が過剰に強化されやすいのです。

② 自分を“盛る”文化

写真加工、キラキラ投稿、完璧なライフスタイルの演出。
SNS上では「理想の自分」を見せることが普通になりつつあります。
しかし、その延長線上で、実際の自分とのギャップに苦しんだり、見栄で自分を大きく見せることが習慣化すると、ナルシシズムが過剰に育ってしまうこともあります。

③ 比較がエンドレスに続く構造

SNSは、24時間世界中の“誰かの成功”や“誰かの幸せ”が目に入ってくる場所です。
そのため、「私も注目されなきゃ」「私もああなりたい」という競争意識や劣等感が刺激されやすいのです。

これがエスカレートすると、「他人に勝つことでしか自分を肯定できない」という自己愛的構造に陥ってしまいます。


■ 実際の影響:SNS依存とナルシスト傾向

近年の研究では、SNS使用時間が長いほどナルシシズムの傾向が強くなるという報告も出ています。
特に、他者からの評価を重視する“脆弱なナルシシズム(vulnerable narcissism)”が増える傾向があるとされています。

これにより、以下のような問題が表面化します:

  • 「バズらないと自分の価値がない」と感じて落ち込む

  • 他人に評価されないとイライラする

  • 承認を得るために過激な投稿や過剰演出をする

  • フィードバックがないとSNSから離れられなくなる

こうした状態は、自己評価の不安定化やメンタル不調にもつながります。


■ 健全なSNSとの向き合い方

◎ 1. SNSの目的を見直す

「誰かに認められるため」ではなく、
「自分が残しておきたい記録」「共感を分かち合いたい場所」など、本来の目的を明確にしておくと、承認依存を避けやすくなります。

◎ 2. 見る時間・使う時間を決める

SNSに触れすぎると、他人と自分を無意識に比較しやすくなります。
1日の利用時間を決める、通知をオフにする、投稿しない日を作るなど、意識的な“距離感”を持つことが大切です。

◎ 3. 「いいね」よりも「内なる満足」を意識する

本当に大事なのは「何人がいいねしたか」より、「自分がその投稿に納得しているか」「楽しんでいるか」という内面的な充実感です。
自分の感性や価値観を大切にする習慣を育てていきましょう。


■ まとめ:SNSとどう向き合うかは「自分次第」

SNSは、うまく活用すれば自己表現の素晴らしいツールです。
でも、「評価されること=価値」という構図に無意識に飲み込まれると、健全な自己愛が過剰なナルシシズムに変わることがあります。

大切なのは、「誰かの期待する自分」ではなく、「自分が心地よいと思える自分」でいられるかどうか

SNSを“自分を見失う場所”ではなく、“自分らしさを表現できる場所”に変えていく。そのためには、時々スマホから目を離して、自分の心の声に耳を傾けてみてくださいね。

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